クローゼットの整理を進める中で、どうしても手が止まってしまう瞬間があります。
それは、フリマアプリで売るほど高価ではないけれど、まだ十分に綺麗で、ゴミ袋に入れて焼却処分するにはあまりに忍びない服と向き合った時です。
捨てるという行為に伴う罪悪感は、意外と深く私たちの心に影を落とします。
しかし、その服が誰かの命を救う支援物資になったり、新たなエネルギーとして生まれ変わったりするとしたらどうでしょうか。
ただ廃棄するのではなく、服を社会という大きな循環の中に還す。
そんな手放し方を知れば、罪悪感は貢献というポジティブな感情へと変わります。
買い物ついでにできる社会貢献。
店舗回収の仕組み
最も身近で、かつ信頼できる手放し先の一つが、アパレルブランドの店舗に設置されている古着回収ボックスです。
現在、多くのブランドが自社製品の回収を行っていますが、代表的な例として大手アパレル(ユニクロやGUなど)の取り組みが挙げられます。
買い物のついでに不要になった服を持ち込むだけで、私たちの手から離れた服は驚くべき変貌を遂げます。
回収された服は、そのまま捨てられるわけではありません。
まだ着られる状態のものは、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)などを通じて、世界中の難民キャンプや被災地へ救援衣料として届けられます。
私たちが手放した一枚が、遠い国の誰かの寒さを防ぎ、尊厳を守る手助けになるのです。
また、汚れや傷みがあって着られない服であっても心配はいりません。
それらは細かく粉砕され、固形燃料や自動車の防音材、あるいは新しい服の素材としてリサイクルされます。
回収ボックスを利用することは、単なる不用品処分ではなく、資源を循環させるプロジェクトへの参加表明でもあります。
今までありがとうという気持ちと共にボックスへ投函する。
その瞬間、クローゼットには物理的な余白が、心には倫理的な充足感が生まれるはずです。
押し付けにならないために。
寄付における大人のマナー
ブランドの回収ボックス対象外の服を手放す場合、NPO団体などへの寄付を検討される方もいるでしょう。
しかし、ここで注意したいのが寄付は不用品処理の手段ではないという点です。
善意のつもりで送った服が、実は受け取る側にとって迷惑なゴミになってしまうケースも少なくありません。
寄付をする際の鉄則は、相手が本当にそれを必要としているかを確認することです。
多くの団体では、受け入れ可能な服の種類、サイズ、季節、状態が細かく指定されています。
送る前には必ず公式サイトを確認し、不明点があれば問い合わせる丁寧さが求められます。
また、送料を自己負担することも基本的なマナーです。
受け取る側には保管や仕分けのコストがかかっています。
そこに送料の負担まで強いるのは、支援とは呼べません。
友人や知人に譲る場合も同様です。
あげるのではなくもし良かったら使ってくれない?と相手の意思を尊重するスタンスを忘れずに。
無理に押し付けるのではなく、相手が喜んでくれる場合にのみ手渡すこと。
それが、服にとっても、人間関係にとっても、最も美しい手放し方と言えるでしょう。
捨てる痛みを知ることは、次に服を買う時の慎重さに繋がります。
出口戦略をしっかり持つことで、私たちはより賢く、優しい消費者になれるでしょう。
